新潟のドライブなら「NEXCO東日本 Presents ヤンの気ままにドライブ」

関越自動車道 越後川口IC ヤンのおすすめドライブスポット/ミティラー美術館

09年04月23日ONAIR

 今回のドライブは、あたくしヤンの独断と偏見によってチョイスさせていただきました。ヤンの好きな小説で「上弦の月を喰べる獅子」って作品がありまして、十日町にその小説のイメージになった同名作品(インドの伝統芸術)があるらしいのです。主人公が宮沢賢治の魂と交錯しながら、仏教の教えの中に出てくるスメールという巨大な山を登りながら、仏陀に到達するって膨大な物語なのですが、その世界に触れてみたいと・・・。

 場所は、関越道・越後川口ICから40分「ミティラー美術館」です。廃校になった小学校をそのまま美術館にしちゃったんですと。外観はホントに朽ち果てそうな小学校(失礼)。駐車場は、そのまんまのグランド跡地。周辺には民家もほとんどなんく、ぽつねんとした佇まい。ホントにここは美術館なのかしら・・・。

 館内に足を踏み入れますと、半径1mからもう異世界!!体育館を改装した館内には、あまりにも乱雑にインドの匂いが展開されています。しかもそのどれもが未だかつて見たことの無いジャンルの代物!インド伝統芸術の大作絵画、巨大なテラコッタ(素焼きの塑像)、象の張りぼて作品まで、多種多様なインディアンアートがあまりにも乱雑に展開されております。通常の美術館で言うと、「順路」ってな看板を目印に見学して行けば、おおよその見方の見当がつくのですが、ここは見方の見当がつかない!何をどう見て、咀嚼すればいいのかさえ分からない不思議空間であります!

 これは例によって、案内人のお力をかりねばなりません!今回の案内人は、なんとなくなオリエンタル美人の松井さん。異文化・異世界の翻訳をお願いしたいと思います。

 松井さん曰く、美術館の名前にもある「ミティラー」とは、インドのある地域の名前でありまして、そこで伝承されてきた絵画のジャンルを「ミティラー画」と言うんだそうで、ヤンのどうしても見たい「上弦の月を喰べる獅子」という作品は、このミティラー画の巨匠・ガンガー・デーヴィーさんの作品なんだそうです。まずビックリしたのは、ミティラー画の作家さんは、すべからく女性!母親から娘に伝えられている、インドの伝統芸術なんですと!

 確かに、ミティラー画ってのはほとんど線のみで描かれていまして、余白もほとんど無い緻密で繊細な構図になっているので、女性ならではの繊細さと根気強さが必要なのかもしれませんね。2×2mくらいのサイズの大きな作品なんか見ると、ホントに緻密!絵全体のサイズがどうであろうと、一つ一つのシンボルのサイズはほぼ一緒!大作になればなるほど、詰め込まれた世界は細密な物語を内包させるわけであります。

 ヒンドゥーの神話を中心に、動物、日常の風景、人生の機微にいたるまでを一枚の絵画で表現しているので、鑑賞するこちら側もやたら時間が掛かる。詰め込まれている情報量が半端じゃないんすよ!マジで噛み砕こうとすれば、一枚あたりに相当な時間を割かれるはずっす!

 ミティラー画以外にも、どこかラスコーの洞窟絵を思わせる「ワルリー画」など、インドの摩訶不思議な芸術作品が所狭しと展示されています。また、そのどれもが見たこと無いジャンル!

 館内にある制作室(?)では、インドの著名アーティストが実際に制作している姿も拝見させていただきました。ワルリーの作家さん2名だったのですが、近寄るのもはばかられる位、どことなく神々しい雰囲気。米の粉を溶いた白い顔料しか使用していない、実にシンプルで幾何学的な図柄なのですが、なにか急所を突かれたような衝撃。

 いかに写実的に物事を表現しても、写真がそうである様に、人の心に何かをうったえるのって難しいですよね。百聞は一見にしかずって言うけども、一見で伝わる情報量にも限りがあって、ズバリ感情や思想を伝える手法として、この表現方法は抜群であるなって思っちゃいました。ましてや、識字率の低い御時世にあっては、むしろ文化の継承手段としてはこれしかないと。しかもその技術が、何千年にも渡って洗練されてきたわけですからね・・・。

 んでもって、肝心の「上弦の月を喰べる獅子」なんですが、非常に貴重な作品の為、通常は展示されていないんですと!そんな〜〜〜!!この作品が見たいが為にここまで来たのにさ!!無理を承知で松井さんに懇願です!

「え〜〜!!見せてくださいよぉ!!」

「・・・・・・・・・・・じゃあ、特別に。」

 やったぁ〜!夢にまで見た作品と、17年越しの対面ですよ!めっちゃテンション上がるわ!!

 休憩室でしばし待っていると、思いのほか小さな額縁を持って松井さんがあらわれました。丁寧に梱包されたその作品は、いかに貴重な作品であるかが偲ばれます。

 ヤンの想像では、1×1m位のサイズのわりかし大きな作品だったのですが、実際は20×25cmの小さな作品でした。これも緻密なミティラーの作風のせいなのでありましょうか・・・。小さいとは言え、作品の品格には圧倒されるなにかがが感じられます。

 とにかく不思議なのよ!「上弦の月を喰べる・・・」の題名にもなったのでしょうが、獅子の体には無数の三日月が描かれている他、意味ありげなシンボルが刻まれています。そもそも獅子のサイズが不明。周りの植物の大きさと比較すれば、等身大の獅子のような気もするし、地面の角度から見れば、巨大な山を股にかける超然とした存在であるかのようにも感じ取れます。この一枚の小画が、いかなる物語を含んでいるのか、無限の想像を湧き起こしてくれるのであります。なんだか涙出ちゃったもん、俺・・・。一枚の絵から数千枚の原稿が生み出されたのも、今この絵を見た事によってなんだか納得。

 正直、芸術センスがゼロのヤンは、ダビンチやミケランジェロの作品見ても、上手だなとは思っても、何が素晴らしいのかは判別がつきません。だけどもインド伝統芸術は、なんだか凄いぞ!意味不明の何かが心を襲うのです。アートに興味が無い、もしくは理解できない人程見る価値ありと思います。

 山の奥の小さく質素な美術館。その乱雑さの中にこそ、インドの雑多な空気&人の本質を突く何かが感じ取れるのかも知れません。インドのアーティストは、ここを「聖地のようだ」って表現しているんですってよ。

「上弦の月を食べる獅子」は『ミティラー美術館』のサイトで見れます。
http://www.mithila-museum.com/

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館内に入ると、いきなりこんな感じ。 ミティール画の大作2点。
ワルリー画は、いたってシンプル。 こういうカラフルな作品を描く部族も。
テラコッタも多数展示。 ヒンドゥーの神様。なにか感じませんか?
インドの作家さん達の制作模様。恐縮っす! 松井さん、お世話になりました!